■ H21.12.15 記念講演会
今回は本プログラムの一環として、2003年に起こったSARSの際に中国で感染制御看護師(ICN)としてWHO(世界保健機関)で働いた経験があり、現在オーストラリアでICNとして活躍されているSiew Stielowさんをお招きして講義・講演をしていただきました。
日時: 平成21年12月15日(火)14:00~16:00
場所: アクロス福岡 久留米大学福岡サテライト
演題:1.「日本におけるICN活動報告」 久留米大学病院感染制御部 川野佐由理
2.「オーストラリアにおけるICN活動の現状と未来」
Siew Stielow Infection Consultant Radiation Safety Officer
The Royal Victorian Eye & Ear Hospital
3.「感染制御看護師(ICN)養成プログラムについて」 看護学科 三橋睦子
参加人数:19名
「A型インフルエンザ-H1N1 (Human swine flu)」
新型ウイルスである。季節性インフルエンザとは異なり、人には出回っていなかった。発生起源は不明。
どのように予防するか?
- 感染した人に対して、せきやくしゃみをするときは口、鼻をふさぐ
- 治るまでは自宅療養する
- 定期的に手を洗う
- 健康な人との間に距離をおく
どのように自己予防するか?
- 口や鼻に触れない
- 手指の定期的な洗浄(石鹸、水、アルコール消毒)
- 感染の疑いのある人へ近づかない(1mほど距離を置く)
- 人混みを避ける
- 部屋の換気
- 健康的な生活習慣を身につける(十分な睡眠、栄養のある食事、適度な運動)
- 予防接種
手指衛生:感染予防で一番重要な手段
日常的な手洗い
- 手を完璧に濡らす
- 石鹸をたくさん泡立てる
- 最低10~15秒は手をこすり合わせる
- 水で洗い流す
- 紙タオルで拭く
アルコール消毒
「未知なる世界への旅」
2003年中国SARS発生時WHOでの短期コンサルタントとしての経験
SARSのアウトブレイクがどの程度のものか分らないまま、オーストラリアを離れ、フィリピンのWHO支所へ到着、後に中国へ入国。
SARSサーベイランス発見のケース
発見と制御のための3つの方針
1.発熱専門診療
2.戻って来た人々の監視 ― 被災地から戻って来た人々を隔離し、監視する。
家に滞在させ検温する。
3.輸送センター ― 空港その他の施設は検温が徹底される。
発熱専門診療所入口 街の発熱診療所で使用されていた器具
(アルコールに浸されていた)
民間教育 病院おいての患者の管理
トリアージ→発熱専門診療所→隔離
飛行機の上からSARSに関する
パンフレットが配られた。
情報は、ラジオ、テレビ、旗、ポスター、
ホットラインから。
個人の保護準備
多層防護服、マスク、手袋、ゴーグルの着用
病院における感染制御
- 全医療従事者への専門トレーニング
- 潜在的SARS患者へのガイドライン―強い責任及び厳密なコンプライアンス
- 安全点検―PPEの適正な使用及び着用を確認する
個人の保護準備
- 国家のガイドラインに従って、マスク、ガウン、手ぶくろ、頭部カバー、靴カバー及び保護眼鏡の着用
- 多層防護服、マスク、手袋
- 高性能保護マスクの不足
手指衛生
手洗い後、乾燥させる設備が不十分
手洗い実施―異なる患者への看護の際、手袋とガウンの洗浄液の交換を怠った。
全医療従事者は手袋を着用した手を消毒液に浸した。
スタッフの検疫期間
SARS隔離部門で働いたスタッフは、勤務終了後15日間特別な施設で隔離されることを要求された。
主に新型インフルエンザ(A H1N1)とSARSにおける活動について、分かりやすくお話いただきました。
WHOでの活動や各国の医療体制などについて活発な意見交換がなされました。
感想:
- アウトブレイク時の対策及び疫学について勉強になった。
- WHOの活動について分かりやすかった、各国の医療体制も大変興味深かった。
- SARS発生時の対策が新型インフルエンザ対策と重なりわかりやすかった。
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