■ 2008年度
ひらめき☆ときめきサイエンス
~ようこそ大学の研究室へ~
鳥インフルエンザなどの感染症から身を守る予防策
開催:平成20年9月14(日)
場所:久留米大学医学部看護学科
主催:久留米大学医学部看護学科
助成:独立行政法人 日本学術振興会 |
次のような疑問に、体験・実験・講義などを通して答えられるよう、研究者がプロデュースしました。
- 新型インフルエンザの予防はどうすればいいの?
- 鳥インフルエンザと新型インフルエンザは同じもの?
- ワクチンは毎年しないといけないの?
- 感染防止対策では何か注意しないといけないの?
参加者:高校生 39名 中学生 5名
講義:感染症と環境
講師:津村 直幹(久留米大学医学部)
「人類の感染症との戦い~有史より鳥インフルエンザまで」と題し講義をしました。感染症の歴史で、人類が撲滅に成功した天然痘に関する話、現在も猛威をふるっている麻疹の恐怖とSARSなど、感染症と人類の戦いの歴史について、また、ウイルスの分類の話から始まり、ウイルス検出にPCRが一役かっていることを説明しました。鳥インフルエンザから、ヒト→ヒト感染が起こるようになり、「新型インフルエンザ」に変異する過程も説明され、現在の対応次第では、鳥インフルエンザから新型インフルエンザになり、過去に例をみないような大規模で急速な拡大に至る可能性があることを説明されました。「ウォーリーを探せ」などを織り込んでいただき、中学・高校生でも十分理解できるように工夫しました。
講義・実験:人と水
講師:三橋 睦子(久留米大学医学部看護学科)
水の一般的な性質や、流水による手洗いの重要性を説明しました。もし、地球に水がなかったら地球での生命は誕生していない、このように生命にとって重要な水は、他の物質とは異なる物性を示します。この物性は水分子の構造に由来する双極子分子であることから生じているが、水の表面張力を極めて細やかな網を使った実験で示しました。水は、溶媒として、また、皮膚を保護する役割を担っていることを説明しました。簡単な実験で失敗し笑いがありましたが、納得してもらえたように思います。
講義・演習:感染症から身を守る予防策とそのポイント
講師:三浦 美穂(久留米大学病院 感染制御部)
手洗いの重要性と、手洗いの方法、また、マスクをつけることにより、感染症を予防できることを説明しました。しかし、マスクの装着は、正しく行わなければ効果がないことや、N95マスクの正しい装着法を演習をまじえて説明しました。
流水による手洗いでの自分の癖をまず確認し、癖をなおしてもらう実習をしてもらいました。手を洗っただけでは不十分で、正しい手洗いを行うことが感染症の予防にも繋がることを体験してもらいました。爪や手首、親指など想像以上に洗い残しがあることに驚いている様子でした。
N95マスクの正しい装着方法を実習しました。正しい装着のこつは、しっかりと2本のゴムで口と鼻に当てた後、鼻の部分につけられた金属で、更に自分の鼻の形に合わせることです。しっかりつけるととても息苦しく、息苦しいという実感に、一同うなずいていました。
揮発性のアルコールでも直接ウイルスを死滅させつことは難しく、消毒薬をすり込み時間をかけて揮発させることがこつです。
昼食は、研究者や大学生も一緒にとりました。大学生との会話が弾み、尽きないようでした。
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実習:一類感染症の防護具と人への影響
① 一類感染症防護具を試着してもらい体感し、酸素飽和度や皮膚への影響を計測する実験を行いました。動いたらとても暑く、皮膚呼吸ができにくいため心拍数が上がっていくことなどを計測器で観察してもらいました。
② 一類感染症防護服を着用後、発語明瞭度検査を行いました。音量を計測しながら、どれくらい誤って聞こえるかを体験してもらいました。
ゲーム:感染症サバイバルゲーム
新型インフルエンザが猛威をふるった場合、ライフラインがストップし、外部との接触が全くできなくなることが想定されます。そこで、2週間生き延びるために、何を準備するのか、グループ毎に選択した理由を考え話し合うゲームです。
結核患者の隔離病棟を想定した寸劇
現在の基準では、特定の感染症の発症が認められると隔離されます。この時に考えなければならないのが、患者の人権と感染症の拡大の問題です。感染症を拡大させないために隔離すればよい言うわけではないことに気づいてもらえるように、生の声を寸劇にしました。
クッキータイム
今日のプログラムに参加した感想や疑問などについて、フリートークをしてもらいました。
修了式 「未来博士号」授与式
一日感染症や感染防護について科学的に学んだことを認め、自ら正しい感染予防ができ、将来感染症に興味を持ってもらえるように、津村講師から「未来博士号」を一人ひとりに授与しました。
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