■ 2006年度
ひらめき☆ときめきサイエンス
~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI
鳥インフルエンザなどの感染症から身を守る予防策
開催:平成19年1月14(日)
場所:久留米大学医学部看護学科
主催:久留米大学医学部看護学科
助成:独立行政法人 日本学術振興会 |
偶然にも数日前に宮崎にて鳥インフルエンザが発生した平成19年1月14日、福岡県の北は糟屋郡や福岡市内から南は大牟田市までの中学生17名、高校生21名、教員などの引率者10名の計48名の参加を得て、久留米大学医学部看護学科にてプログラムを開催しました。本企画の意図や科研費の意義、一日のスケジュールを説明し、以下の内容を実施しました。
【 プログラムと実際の様子 】
● 人類の感染症との戦い:講義
久留米大学の感染症専門の津村直幹医師により、およそ4000年かって麻疹が古代エジプトから日本へ到達した時代から、SARS,鳥インフルエンザに到るまでの世界各地における新興・再興感染症について解説されました。中国広東省から発祥したSARSの世界への拡散や実際の鳥インフルエンザの対処法、およびパンデミックの脅威、インフルエンザウイルスの宿主と変異などについても、写真や図がふんだんに活用されてイメージしやすいように解説されました。また、感染症は完全には防げないが、人間の英知をもって適切な対応をとることで、拡大を最小限にできることが説明されました。
● 基本的な予防策:講義・実習・観察
感染制御部認定看護師の重富美穂講師による講演を前後に挟み、実体験を通して正しい予防策の技術を身につけてもらいました。まず、流水による手洗いと速乾式手指消毒剤による消毒、マスクのつけ方についてクイズ形式や図にマークする形で回答を求めました。流水による手洗いは、洗い残しの部位や程度をGlitter Bugを使用し観察し評価してもらいました。N95マスクを装着後に漏れの状況をフィットテストにて評価し、正しい装着感を体験してもらいました。最後に、講師により正しい感染予防策とそのポイントについて、ビデオや歌などを用いて分かりやすく解説されました。意外と洗い残しが多いことを体験し、正しいコツをつかんでもらいました。
|
|
|
|
|
洗い残しの観察風景
|
|
マスクのフィットテスト風景
|
|
速乾式手指消毒の風景
|
★ 午前中の予定が終了し、学科学生・病院および学科スタッフを交えて昼食としました。 ★
|
● 感染制御とその影響:実験・講義・寸劇
一類感染症用の防護具使用時のコミュニケーション障害と吸入酸素量の低下を体験してもらうために、全員に一類感染症用防護具を着用後、発語明瞭度検査による語音弁別能の測定とパルスオキシメーターによる酸素飽和度を測定してもらいました。その結果、語音弁別能測定では20文字中60~10%の正解率の低下を認め、口唇が見えないこととでより不明瞭になることを体験してもらいました。次に、福岡教育大学心理学の大坪靖直教授により、感染症と感染制御の捉え方について心理的側面から解説されました。ジレンマゲームを教材として、最終的に利益が高くなるのはどういう地域かについて疑問を投げかけながら説明されました。その後、実際に結核のために隔離入院を余儀なくされた患者さまとの面接をもとに、その苦悩を寸劇にしてスタッフで演じ問題提起しました。感染症患者の現実の問題を身近に感じ、日本での出来事とは信じられないと言った感想が聞かれました。
|
|
|
酸素飽和度測定の風景
|
|
発語明瞭度検査の風景
|
フリートークの風景
|
● クッキータイム・フリートーク
「地球規模、日本、あるいはあなたの周りの感染症対策で大切な こと」をテーマに、感染症の不思議や知りたいことのQ&Aを 行いました。
● 修了式
最後に「未来博士号」を授与して講習を終了しました。
「未来博士号」授与式の風景
|
|